人は 自分の生まれた土地や住んでいる場所に 特別な思いをよせるものです。
しかし あまりにも身近すぎて 見えていないこともあります。
そこで 私たちはこの「奈良」について考えました。
古代の歴史遺産に恵まれている奈良。
けれども 奈良を形づくっているものはそれだけではありません。
中世 近世 近代 そして現代への長い繋がりの中にこそ 新しい奈良が発見できるのでは。
知っているようで 知らなかったこと 今さらながら 驚くこと そして だれも知らなかったこと。
変わらないものにふれることで 心が癒されることがあります。
歴史を知ることで 未来が見えてくることもあります。
そんな奈良を伝える季刊誌づくりを通して ささやかながら奈良をデザインしていけたらと思います。
いにしえびとの知恵が作った朱・丹・紅などの「あか」に これから動き出すエネルギーをたくして 「あかい奈良」をお届けします。
「あかい奈良」今までなかった言葉です。
古瓦の色、くずれかけた土壁の色がこれまで奈良を語る言葉でした。
堅苦しい言葉ではなく、ありのままの奈良の姿を見つめていきたい・・・
それが「あかい奈良」、古代から伝わる朱や丹が持つエネルギーの色です。
あかい奈良は1998年秋に創刊した季刊誌です。
考古学や民俗学の話題から、人物像、芸術、伝統的な行事、食べ物、
文学にいたるまで、様々な角度から奈良を紹介していきます。
年4回発行(3月10日、6月10日、9月10日、12月10日)
A4版 48ページ フルカラー
「あか」は赤、朱、丹
火のあかが赤(せき)
木のあかは朱(しゅ)
土のあかは丹(たん)
心臓の色でもあり、血の色でもある。
「あか」は命の色
「丹」の色
@その色をあらわす「モノで象徴」
Aその色を造る方法を示してその色を表す
青丹よし=顔料の青丹を馴熟(なら)す。黛に使用。
青丹=色と2字の時は丹=土
丹1字の時は赤き色のこと。
「丹」の物質
水銀系(硫化水銀・丹砂・辰砂)、鉄系(酸化第2鉄・ベンガラ)、 鉛系(四酸化三鉛・鉛丹)
「丹」の思想
丹には「外丹」「内丹」が有り、中国道教に特有の生命煉養理論であり 実践体系である。
中国の土着宗教ともいうべき道教の中に生まれた仙学は、 道教の中で伝播した。
道教の中にあっても、仙学は仏教や儒教の影響を多分に受け、 それらのエッセンスを取り込んでいる。
その中には中国文化が日本に伝播する過程で取りこぼしたものを 保持しているかもしれない。
1998年9月10日 発行人 沢井啓祐
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