率川神社境内万葉歌碑

はね蘰今する妹をうら若み いざ率川の音の清けさ
(万葉集巻七 1112 作者未詳)
| いま、奈良三条通の南の古社、率川神社(子守社、三輪の大神神社の境外摂社)三座の三枝(さいぐさ)祭、百合まつりは、中殿の祭神ヒメタタライスズヒメにちなむ数千の笹百合の花を供え、その花を髪飾りの鬘(かずら)にした七乙女(ななおとめ)や稚児達の行列が古都を練ります。昔、「はね蘰今する妹」、このことばは、あたらしく成女したをとめのしるし、蘰に通した花の精の冠か鳥の羽かを鬘にした、その民俗の類型句でした。そのをとめがういういしく愛(うつく)しくて、「いざ」と今宵を誘いたい、その「いざ」、この率川(いざがわ)の瀬音のさやかなこと。同じ音をくり返す序詞の技法から、これは人事を序して自然へ転じて率川をみちびき、花のをとめをおもかげにしながら、聴覚を透してほめます。 率川はいまイサ川というようですが、『古事記』に伊耶河と書きました。古図にいう「御蓋山神地」、春日山の奥から出て「・・・細谷川の音の清けさ」(巻七 1102)とも歌われた渓流の一つで、猿沢の池の南を廻ってから西へ率川神社のすぐ傍を流れました。「音の清けさ」、この結句もまた渓声をほめる類型句になります。 成女したをとめは巫女として神事に仕えて神の嫁になることもできました。この歌はいわゆる神楽歌ではありませんが、神遊びの夜の謡い物になることも十分でき、あるいは月の光もさやかでしょう。 |
本田義憲先生監修
(奈良市に万葉歌碑を建てる会専門委員・奈良女子大学名誉教授)
率川神社境内地
安産・子育ての神様として名高い。
6月には巫女がユリを持って舞う古式ゆかしい百合祭が行われる。
近鉄奈良駅下車、やすらぎの道を南へ。

率川神社境内
JR奈良駅→徒歩15分 近鉄奈良駅→徒歩10分
これからの建立予定 |