奈良市庁舎前庭万葉歌碑

あをによし奈良の都にたなびける
天の白雲見れど飽かぬかも

(万葉集巻十五 3602)

遣新羅使人等の、所に当たりて誦詠せる古歌

 歌は、白雲在天、天上の瑞雲のよろこびを詠じて、栄える奈良の都をほめます。「咲く花の薫(にほ)ふが如く」とも歌われた此の都は、大唐の長安の都を感じる姉妹のように、全盛期の新羅王国の慶州の都と相並んでいました。
 歌は、「万葉集」巻十五の、新羅に派遣された使人たちをめぐる歌篇の中に、その人びとが然るべき所々で吟誦した「古歌」(作者未詳)の群の一首として、その群の最初に置かれています。
 天平8年(736)のことでした。新羅から来た使たちと長屋王の邸(奈良市史跡文化センター附近)で宴したような日はもはや過ぎ、いま、新羅との間は緊張していて、この使人たちも新羅でその使命を果たせなかった、と「続日本紀」はつたえています。
 「万葉」の此の歌篇は、その新羅への旅路から、家人との別れをなげき、前途に胸ふさぐ思いというものを編みました。この時、この「古歌」本来ののびやかな長調は、幻の都との悲別とか港々での望郷とか、雲に寄せる慕情の短調を帯びることになったか、と思われます。

本田義憲先生監修

(奈良市に万葉歌碑を建てる会専門委員・奈良女子大学名誉教授)


所在地

奈良市役所敷地内

奈良市役所へは近鉄奈良線・新大宮駅から歩いて10分ほど。
平城宮跡や史跡文化センターにもほどちかい。


奈良市庁舎前庭
 JR・近鉄奈良駅→市庁前方面行き6分「奈良市庁前」下車すぐ(奈良市庁舎中央玄関東側)

揮毫者

杉岡華邨先生

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